2019/05/07

びぜん



やきものの道をもっと進んでみたいと思ったきっかけは、備前焼との出会いです。


新宿にあるビルの小さな部屋で開講していた陶芸教室に通っていた時には思わなかった

陶器への思いが募ったのは、偶然歩いていて出会った、備前の土を使っている

陶芸教室でした。


陶器そのものに対する興味と、その器を使うことや使う人のそれぞれの想い、

その土が採れる風土などにも心惹かれて、最初は備前の窯業訓練所に行こうかと思い

色々調べていましたが、金銭的なことなどもあり、一年くらい考えに考えて

京都の学校へ行ったという経緯があって、今でも備前焼に対する気持ちは憧憬でもあり、

原点でもあるようです。



そんな備前焼の展覧会を観に行って、やっぱりいいなーーーー!!

って感じました。



桃山時代の花器の、おおらかでひょうきんな佇まいにその窯色、

土そのものの力と一週間余の窯焚きによる焼の力強さ。



85メートルにも及ぶ大窯を築き、100日間(!)火を入れて

「焼き」を究めるということに挑戦している、森陶岳さんは言いました。


「人がどうしても惹かれてしまう、何かわからないけれど

 漂っている何ものかを生み出したい」






桃山時代、室町時代の陶工たちは、そんなこと何にも考えずに、

ただ目の前にある土を使って形を作り、炎をなだめて、ただただ

作っていただけなのだろうと思います。


人を騙そうとか、苦しめようとか、お金を儲けようとか、

目立とうと思って作り出されたものはひとつもない。

きれいな心で作られたもの。

それは物であって物ではなく、心なのだということ。




昔の陶工の心を感じて、私は人に喜んでもらえる器を作ることを

ただひたすら思って作ります。


























東京国立近代美術館工芸館は、建物も素敵ですよ。

備前焼の展覧会は終わってしまいましたが、北の丸公園は緑が滴り、

散策するにはよい季節です。







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