「ひこばえ」ということば、聞いたことがありますか?
重松清氏の著作「ひこばえ」を読んで初めて知りました。
「樹木の切り株や根元から生えてくる若芽のこと
太い幹に対して孫(ひこ)に見立てて孫生え(ひこばえ)という」
小説は、両親が離婚した時から、48年間音信不通になった父と、
遺骨と言う形で再会するところから始まります。
主人公は55歳の男性で、妻と、二人の子供がいる。
主人公は父との想い出がほとんど記憶の中に無く、顔も、声も思い出すことは
できないけれど、少し変わった「バイバイ」の手の振り方がおぼろげに浮かぶ。
主人公の姉や母、母が再婚した時の義父やその連れ子たちとの
距離や、自分の家族との関係、そして亡くなった父に関わっていた人たちとの
出会いがあって、父の姿を追っていく、というお話です。
主人公の孫が生まれることで、また命が繋がっていき、
遺骨となった父も、確実に孫の命の中にあるということを感じていくのです。
色々な登場人物がいて、その中には結婚しなかったり、子供を持っていなかったり、
これから、という人もいます。
子どもを産んで、孫が生まれて、という「ひこばえ」だけでなく、
色々な形の「ひこばえ」があるんだということも伝えています。
私も誰かに「ひこばえ」を渡せるといいなぁと思いました。
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