2020/07/15

ひこばえ



「ひこばえ」ということば、聞いたことがありますか?


重松清氏の著作「ひこばえ」を読んで初めて知りました。


「樹木の切り株や根元から生えてくる若芽のこと

 太い幹に対して孫(ひこ)に見立てて孫生え(ひこばえ)という」



小説は、両親が離婚した時から、48年間音信不通になった父と、

遺骨と言う形で再会するところから始まります。

主人公は55歳の男性で、妻と、二人の子供がいる。

主人公は父との想い出がほとんど記憶の中に無く、顔も、声も思い出すことは

できないけれど、少し変わった「バイバイ」の手の振り方がおぼろげに浮かぶ。


主人公の姉や母、母が再婚した時の義父やその連れ子たちとの

距離や、自分の家族との関係、そして亡くなった父に関わっていた人たちとの

出会いがあって、父の姿を追っていく、というお話です。



主人公の孫が生まれることで、また命が繋がっていき、

遺骨となった父も、確実に孫の命の中にあるということを感じていくのです。



色々な登場人物がいて、その中には結婚しなかったり、子供を持っていなかったり、

これから、という人もいます。

子どもを産んで、孫が生まれて、という「ひこばえ」だけでなく、

色々な形の「ひこばえ」があるんだということも伝えています。



私も誰かに「ひこばえ」を渡せるといいなぁと思いました。






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