2018/04/11
じてんしゃ
「田園発 港行き自転車」 宮本輝 著
また、夢中で読み続けて鳥がチュイチュイナ~と鳴く朝方になってしまう
本に巡り合いました。
若いころにも「錦繡」や「青に散る」などの著書を読んでいたけれど、
こんなに心を鷲掴みにされるほどではなかったんだよな~。
歳を重ねるって、ほんと面白い。
陶芸教室の生徒さん方から、色々なジャンルの本を貸していただいています。
宮本輝さんの本を紹介してくださった生徒さんには、本当に感謝しています。
なので、ここで私もご紹介。
序章は、富山県から東京の企業に就職するために上京した二十歳の女性が、
その企業を一年半勤めて、退職して故郷へ帰ると決めて、
会社の送別会の時の挨拶で、どれだけ自分の故郷が素晴らしいかを語り、
「是非、私のふるさとへきてくれ」と言うところから始まります。
「富山湾を背にして、黒部川の上流に向かって立ち、深い峡谷がそこで
終わって扇状の豊かな田園風景が始まるところに架けられた愛本橋の
赤いアーチを思い描く」
挫折感や、周りの人への感謝や、たくさんの思いがないまぜになって、
ど田舎から東京へ出てきた私にも、とても感じるところがありました。
そこから富山、東京、京都と、3つの場所に暮らす人々を行き来して、
家族や、会社や、花街などを通して、人と人の心の交流を綴っていきます。
またもや、料理が小説の中で丁度良い演出として登場して、作って味わって
みたいな~と思うのですが、今回の重要なアイテムは「自転車」です。
今は自転車に乗ることがほとんど無くなりましたが、子供のころ、
補助輪を外して父親に後ろを支えてもらって、
「手を離さないでね~、離さないでね~!(振り向いて)
ぎゃぁ~!!離さないでっていったのにぃ~!!(どてっと倒れる)」
と、いう経験をして乗れるようになってから、
片道40分以上の道を通った高校時代まで、自転車は身近なものでした。
風を体いっぱいに感じて、田舎の畦道を走っているあの頃の自分をも
思い出して、物語の持つ力をまた感じました。
おススメの本の紹介、でした。
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