と、いうことで、芭蕉布の続きです。
会館の2階が工房になっているのですが、
実際に職人の方たちが日々作業しているので、おじゃまにならない
ように、静かに見学させていただきました。
機を織る。
その静かな動きと音に耳を澄ませていた時、ふと工房の隅を見ると、
平良敏子さんが苧績み(ウーウミ)※ をされていました。
お声を掛けたい気持ちもあったけど、緊張するし、じゃましたくないしで、
その手先の動きをじっと見つめていました。
案の定、「苧績み」はベテランの技が要求される工程で、なかなか後継者が
育たないようです。
96歳になられる現在でもその作業をしている姿は、ぐっときました。
冒頭の木片は、芭蕉から採れた繊維を柔らかくしたり、
織りあがった反物の色を落ち着かせるために使う、灰汁のために
使います。
木を燃やした灰は、水に浸けるとアルカリ成分が出てきます。
それを芭蕉布では使うのですが、焼き物では、木の灰を釉薬に
使う時は、アルカリがぶくを起こしたり、色を変えたりするので
取り除く成分であるのです。
芭蕉布を作る工程では、灰汁が必要で、灰は必要でない。
「捨てる神あれば拾う神あり」
無駄なものは一つも無くて、何かしら、役に立つのだな~
なんて思ったやんばる路でした。
※ 苧(うー)は糸芭蕉の繊維のことで、「苧績み」は色々な工程を経たのち、
糸をつないでいくこと。均一に績まれていないと、反物にムラが出来て
しまう。芭蕉布の工程では、一番時間がかかる