2020/06/01

けんじ




宮沢賢治。

「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」「風の又三郎」  などなど・・・

国語の教科書に載っていたり、題名だけでも聞いたことがある人も多いでしょう。



「銀河鉄道の父」という門井慶喜氏の小説を読みました。


賢治の父、政次郎の目線を軸として宮沢賢治の生涯を表しています。


父は、どこまでいっても父でした。


有名な「雨ニモマケズ」全文が小説の最後に載っているのですが、

賢治の生涯を追いつつ読むと、また違った思いが湧いてきました。





雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケズ

丈夫ナカラダヲモチ

慾ハナク

決シテ瞋ラズ

イツモシヅカニワラッテヰル

一日ニ玄米四合ト

味噌ト少シノ野菜ヲタベ

アラユルコトヲ

ジブンヲカンジョウニ入レズニ

ヨクミキキシワカリ

ソシテワスレズ

野原ノ松ノ林ノ蔭ノ

小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ

東ニ病気ノコドモアレバ

行ッテ看病シテヤリ

西ニツカレタ母アレバ

行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ

南ニ死ニサウナ人アレバ

行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ

北ニケンクヮヤソショウガアレバ

ツマラナイカラヤメロトイヒ

ヒデリノトキハナミダヲナガシ

サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボートヨバレ

ホメラレモセズ

クニモサレズ

サウイフモノニ

ワタシハナリタイ





結核で死の淵にいて、手帳に書き留めたこの言葉は、

立派な人になれよという言葉でもなく、慎ましく生きろということでもなく、

ただ、賢治がさういふもののやうに生きたかったのだと。

死に近いところにいてもなお、明るく、悲壮感はなかったのだと。






しかし、米好きの私でも「一日に玄米四合」は多いな~。

けれど、他に魚や肉のような主菜があるわけでもなく、

野菜も少しなんだもんなぁ。




「伝記」という堅苦しさはなく、実際に生きた人の血肉を感じるような小説で、

とても面白かったです。







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